2025.03.01 産地特集
中米出張2025 No.3 ~ ウエウエテナンゴ ロス・アグアカトネス農園

今現在は正確な言い方ではないが、『ウエウエテナンゴには農園がない』
そう聞いて驚く人は多いと思う。
ウエウエテナンゴ『県』には多くの農園があるが、グアテマラでウエウエテナンゴといえばウエウエテナンゴの中心地(わかりやすく言えば県庁所在地)のこと。この辺りは標高2000m近く、雨が少なく、コーヒーどころか他の作物にとっても良い環境ではない。
だからこの辺りにコーヒー農園は無かった。
しかし今、脚光を浴びている農園がある。ロズマが作ったロス・アグアカトネス農園だ。
※Aguacate(アグアカテ)は、スペイン語でアボカドのことで、Los Aguacatonesは、複数形。
もともとアボカド農園にしようとアボカドの木を300本植えたが、気候のせいであまり育たず。しかも山火事でほぼ全焼してしまった(10本程度しか残らなかったらしい)ので、そのあとにコーヒーを植えたことでこの土地の運命が変わる。
貯水タンク、灌漑設備を整えて誰も挑戦しなかったコーヒー栽培を始めたのだ。
どんな品種がこの土地に適合するのかもわからなかったため、いろいろな品種を植えて実験した結果、ブルボンとヴィジャサルチが良い結果を出したそうだ。今は最高標高区画にゲイシャが植えられて初収穫を待っている。
厳しい環境で育つコーヒーの凝縮感はすばらしい。
今ではCOEで何度も入賞し、ウエウエテナンゴで屈指の農園になっている。
水が少ないからフリーウォッシュト精製よりもナチュラルのほうが適しているが、フリーウォッシュトのほうが圧倒的に需要が高いため、生産量はFWが多い。農園の方針としてはナチュラルをもっと増やしたいとのことだ。
彼らの作るナチュラルは素晴らしいので、今後カフェテナンゴにロス・アグアカトネス農園のナチュラルが登場するかもしれない。
今回は、2019年以来2度目の訪問。前回より精製設備が整っており、焙煎所が作られて、確実に成長が見える。
この場所でコーヒーを育てようと思い立ったチャレンジ精神。そこがまず素晴らしいと思う。素晴らしい結果がでているのにもかかわらず誰も真似できない。唯一無二のコーヒー農園である。そしてそのチャレンジ精神は、本家ロズマ農園から続く流れなのだと知ることになった。