2025.04.07 産地特集
The Best of Parainema 2025

今回の出張の大きな目的の一つはThe Best of Parainemaへの参加だった。パライネマ種のみ、しかもエル・パライソ県産だけという超特殊な品評会だが、2019年の初開催からコロナ禍の休止期間を挟んで今回で5回目となるのだからすごい。
私、店主かやぬまは、国際審査員として2024年に続いて2回目の参加となった。
パライネマ種について知らない方に説明しておく必要があるので、過去にカフェテナンゴのニュースレターに載せた文章を編集して貼っておく。
パライネマ種とは
パライネマ種は、ハイブリッドティモール種を起源とします。
ハイブリッドティモール種は、1920年にティモールで発見されたアラビカ種とカネフォラ種が自然交配したさび病に強い特性も持つ品種です。
さび病の研究で有名なポルトガルの調査センター (CIFC) により、安定した収穫量が見込めるアラビカ直系のカトゥーラ種・ヴィジャサルチ種とハイブリッドティモール種を交配したことで、、サルチモール(ヴィジャサルチ×ハイブリッドティモール種)と呼ばれるグループが生まれました。
このCIFCの研究の中でサルチモールの一つにH361というコードがつけられた交配種が現れます。
このH361は、1970年代に試験生産のため中南米各国の研究機関、またアフリカや東南アジアの一部の国に送られました。
その中の一つ、コスタリカの熱帯農業研究教育センター (CATIE) で研究されたH361には、T5296というカタログ番号が与えられ、これがラテンアメリカ各地へと広がっていきます。
T5296は遺伝的に不安定だった為、そのまま生産者が栽培するには問題がありましたが、移植先の国々において更なる選別が行われ発展していきました。
ホンジュラスでは、コーヒー協会(IHCAFE)が主導となり、結果的に優れた品種として残ったものをパライネマと命名し栽培を推進しています。
それぞれの地域へ広がったT5296は、独自に選別され異なる名前が付けられ、エルサルバドルでは、クスカトレコ種と呼ばれて栽培されています。
品種の特徴としては、標高400m~1600mの中低地での栽培が可能であること、さび病、コーヒーの実の病気、コーヒーの根に影響を与える線虫病に強いことが挙げられます。
また、樹高があまり高くならないため、収穫しやすく、収穫量も多いので、栽培効率が良いという特徴が挙げられます。
国際審査員としてThe Best of Parainemaに参加
昨年に続きホンジュラスのエル・パライソで開催されたThe Best of Parainema 2025では、89ロットが出品された。
それを国内審査員が40ロットに絞り、我々国際審査員がカッピングをして87点以上のロットが入賞ということになる。
今年はフレーバーに特徴がはっきりと出ているものが多く、得点が伸び、トップ10は、88点以上となった。
特に1位から4位までが90点以上のプレジデンシャルアワードという素晴らしい結果となった。
1位 La Loma 91.56 Lavado
2位 La Fuente 91.06 Natural
3位 El Areno 90.50 Lavado
4位 Nueva Luz 90.06 Lavado
5位 Ciruelo 89.25 Natural
カフェテナンゴで販売中のNueva LuzやCirueloが今年も入賞しているのはとても嬉しいこと。
グラナディージャ、赤ワイン、ストロベリーのフレーバーが顕著なナチュラルのロットとフローラルでエレガントなウォッシュドのロットが競い合う大会となったが、1位は昨年と同様にウォッシュド。今年は特にウォッシュドの良いロットが目立った印象がある。
2日間の審査は、集中力を使い、とても疲れるがとても良い経験となった。
日本でパライネマの地位向上を目指し、今年もカフェテナンゴではThe Best of Parainemaの入賞ロットを販売する予定である。