2026.01.04 コーヒーの読み物
Best of Parainema 2024 1位 ヌエバ・ルス農園より届いた農園主の言葉
父から受け継いだこの土地で私の人生は始まった
子どもの頃から私たち家族は一緒に働き、朝の冷たい空気の中、土の匂いを吸い込みながらコーヒーの木々を育ててきました。
父はいつも真剣で、私にもコーヒー作りの基本から土や肥料、収穫のタイミングまでひとつひとつ丁寧に教えてくれました。時には厳しかったけれど、私もそれを受け入れ、いつしかこの地が自分の一部のように感じられるようになっていました。
私たちのパライネマ種の区画は「PACC」の支援と共にある
PCAAの指導のもとNutricafeを使って畑の土に窒素・リン・カリウムを補い、2年ごとの精密な土壌分析まで取り入れています。分析結果を見るたびに、市場の評価を獲得するたびに、プロジェクトのすばらしさと土を育てることの大切さを実感しています。
カマで雑草を刈り取る作業は体力のいる重労働です。しかし、PACCの知見によって「この地の土」をより深く理解できている今の私には、その一振り一振りに迷いがない。土を知り尽くすことがチェリーの品質に直結するという確信、そしてプロジェクトと共に歩んでいるという実感が、私の作業を誇り高いものに変えてくれているのです。
※PACC=Programa de Apoyo a la Calidad del Caféの略エル・パライソ県のコーヒー生産者支援の為の地域プロジェクト
それでも収穫期になると私はいつも緊張する
1年かけて手入れをしてきた努力が報われるかどうかが私の判断ひとつで決まってしまうからです。
完熟した「サングレ・デ・トロ」(牛の血)と呼ばれる赤いチェリーだけを選び抜き、摘み取った果実は鮮度が良いその日のうちに果肉除去をする。発酵には24時間を要するが私はその時間が大好きです。家族や4人の従業員と共に、ひとつひとつの工程を祈るような気持ちで見守るその時間は、私たちにとって徐々に期待を膨らませていく特別な時間なのです。
人生を変えるBest of Parainemaでの1位
スペシャルティコーヒーの販売が軌道に乗り始め、Best of Parainema2024で1位を獲得し、私は大きな達成感を味わいました。コーヒーが生み出す収入で家に電気が通り、ついに借金も返済することができました。さらに、念願だった精製所を建設する計画もスタートし、自分が一歩ずつ前進していることを感じています。家族のために、そして成長していく子どもたちのためにも、この土地を未来に繋げていきたいと思っています。
カフェテナンゴへのメッセージ
私たちのパライネマを買ってくれたcafetenagoさんやBOPを主導しているCafe RagaのRony Gamezさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。遠い日本で私たちのコーヒーが飲まれ、喜ばれていることを思うと、誇らしさと不思議さと温かさが心に広がります。父が教えてくれたこの仕事を、これからも続けていくつもりです。家族と共にこの地で働き、最高のコーヒーを作り出し続けたい。それが私の道であり、私の生きる意味だからです。
★ 国際審査員 店主栢沼が見たヌエバ・ルス ~Best of Parainema 2025
国際審査員としてBest of Parainema 2025をカッピングしていると、ヌエバ・ルスは早い段階から「香りの立ち方が違う」と感じました。フローラルで優しい果実感、酸の上質さ、甘さの乗り方、余韻の伸びまでが調和し、最後までカップの構成が崩れない。こういうロットは審査の場で強いのです。
今年はフルーティで分かりやすい反面、酸に元気がなかったり後半に粗さが出たりするロットも散見されました。その中でヌエバ・ルスは、明るさがありながら角が立たず、甘さも「強い」だけではなく柔らかなマウスフィールとの一体感があり、アフターがきれいに伸びていく完成度が印象的でした。
そして2024年に1位、2025年に4位入賞。2年連続で評価されるのは“たまたま良かった年”では説明できません。コーヒーは気象条件、収穫、発酵、乾燥のわずかな揺れで風味が変わる難しい商品です。連続入賞は再現性=技術の証明です。小さな区画で完熟チェリーを見極め、精製を計画・設計し、品質を磨いてきた成果がこの一杯に結実しています。



















