2026.04.22 生産者特集
エル・ミラドール農園 ~ Best of Parainema 2025 16位入賞
コーヒーの価値はカップの中の味わいだけでは決まりません。
どんな土地で、どんな人が、どんな思いで育ててきたのか。
そこまで知ったとき、一杯のコーヒーはただの飲み物ではなく、物語を持った特別な存在になります。
カフェテナンゴが大切にしているのは、まさにそういうコーヒーです。
品質が高いことはもちろん、その一杯の向こう側に、生産者の人生や土地の個性、そして未来への意志が感じられること。
そんなコーヒーを、日本のお客様に届けたいと考えています。
Best of Parainema 2025 16位入賞『エル・ミラドール』は、まさにその象徴のような農園です。
「エル・ミラドール」という名前に込められたもの
El Mirador(エル・ミラドール)は、スペイン語で「展望台」、あるいは「見晴らしの良い場所」を意味します。
山々を見渡すような場所にある農園にふさわしい名前です。
しかし、この農園のことを知るほどに、この名前は単に景色の良さだけを表しているのではないように感じられます。
それは、『未来を見渡す』ということ。
経験のないところからコーヒーづくりを始め、学びを重ね、品質を磨き、少しずつ前へ進んでいく。
エル・ミラドールという名前には、山の眺望だけでなく、未来へ向かって視線を上げる生産者の姿勢までも重なって見えるのです。
ユスカランの山あいで始まった新しい挑戦
エル・ミラドールは、ホンジュラス・エルパライソ県ユスカランの山あいにある農園です。
この農園を営むのは、オスマル・アレクセイ・ポルティージョさん。
アレクセイさんは、幼い頃から父親とともに畑へ通い、農業の価値を肌で学んできました。
もともとは果樹を育てていた土地でしたが、作物を多角化して雇用を増やすという目標を立て、バナナの子株を探していました。
その時に偶然、売りに出されていたコーヒーの区画と出会ったことが、人生の大きな転機になります。
当時、彼にはコーヒー生産の経験があったわけではありません。
それでもホンジュラスという国を象徴する作物であるコーヒーに強く惹かれ、学びたいという気持ちが芽生えます。そのことを相談した妻が力強く後押ししてくれたことで、この世界へ踏み出すことを決意。
2016年、エル・ミラドールは正式にスタートします。
経験ゼロからの出発。
しかし、だからこそ一歩一歩を大切にし、土づくり、収穫、精製、乾燥といったすべての工程を丁寧に積み重ねてきました。
RAGA CAFÉの技術的サポートも受けながら、その歩みは着実に品質へと結びついていきます。
2025年 Best of Parainema 16位入賞という実績
その努力は、結果に表れます。
エル・ミラドールはBest of Parainema 2025で16位入賞を果たしました。
Best of Parainemaは、ホンジュラスを代表する品種「パライネマ」の魅力を競う品評会です。
パライネマはホンジュラスを語るうえで欠かせない存在であり、この品評会は単なる順位争いではなく、各生産者がこの品種の可能性をどう引き出すかを示す舞台でもあります。
その中で16位に入賞したということは、単に“良いコーヒーだった”というだけではありません。
土地、品種、精製、乾燥、そして生産者の努力と判断、そのすべてが高いレベルで噛み合った結果です。
カフェテナンゴがBest of Parainemaを重視しているのは、このコンペティションに、ホンジュラスの今が凝縮されているからです。
そして、そこに集まるロットには、スペックだけでは語れない、生産者の生活を賭けた挑戦と努力とが宿っています。
店主かやぬまが会場で出会った一杯
今回のエル・ミラドールには、カフェテナンゴにとって特別な意味があります。
というのも、このコーヒーは店主かやぬまがBest of Parainemaの国際審査員として大会に参加し、実際に審査の場で出会ったロットだからです。
数多くのパライネマを審査する中で、エル・ミラドールのコーヒーは、その風味のユニークさと完成度で強く印象に残りました。
もちろん銘柄は、伏せられていましが、心に訴えかけてくる何かを持っているコーヒーでした。
国際審査員として現場に立ち会い、自ら味わい、感動し、そのうえで買い付ける。
これはカフェテナンゴにとって、とても大きな意味を持っています。
ただ評価の高い豆を仕入れるのではなく、自分の舌で確かめ、自分の心が動いたコーヒーを選ぶこと。
その姿勢こそが、カフェテナンゴの買い付けの根幹にあります。
エル・ミラドールは、まさにそうして選ばれたコーヒーです。
ナチュラル・アナエロビコが生み出す個性
今回のエル・ミラドールのロットは、ナチュラル・アナエロビコ精製。
果実の個性をしっかり残しながら、嫌気性発酵によって複雑さと奥行きを引き出した仕上がりです。
さらに乾燥には時間を惜しまず、豆の個性を残したままじっくりと丁寧に水分値を落とします。
こうした工程は、どれも手間のかかるものです。けれど、その手間を省かなかったからこそ、コンペティションで評価される品質へとたどり着いたのでしょう。
コーヒーは農産物です。
だからこそ、最後に味を決めるのは、華やかな言葉ではなく、畑で積み重ねられる地道な仕事です。
エル・ミラドールのコーヒーには、その誠実さがしっかりと表れています。
希望を蒔く仕事
アレクセイさんにとって、コーヒーを作ることは単なる仕事ではありません。
それは、希望を蒔くための仕事です。
この言葉がとても印象的に響くのは、彼の経験に裏打ちされているからです。
経験のないところから始め、学び、挑戦し、品質を高め、ついにはBest of Parainemaで16位入賞という結果を残した。
その歩みそのものが、コーヒーを通じて未来を切り開いていく姿を物語っています。
カフェテナンゴがこうしたコーヒーをご紹介したいのは、味が素晴らしいからだけではありません。
その背景にある人の努力や、土地の物語までも含めて、コーヒーの価値だと考えているからです。
私たちは、単に『入賞豆』を売りたいわけではありません。
その一杯の向こうにある、山の景色、農園で働く人の手、積み重ねてきた挑戦、そして未来への希望。すべてを届けたい。
カフェテナンゴが目指しているのは、そういうコーヒー屋です。
一杯の向こうにある物語を届けるために
エル・ミラドールのコーヒーを飲むとき、ぜひ思い浮かべてみてください。
ユスカランの山あいで、経験のないところから始まった一人の生産者の挑戦を。家族の支えと学びを力に、少しずつ品質を磨き、ついにコンペティションの舞台で評価されるまでに至ったその歩みを。
コーヒーの裏には、いつも物語があります。
そして、その物語を知った一杯は、きっと少しだけ深く、美味しく感じられるはずです。
カフェテナンゴはこれからもそんな物語のあるコーヒーを皆様に届けていきます。




















