2025.03.12 産地特集
コーヒー農園主達から聞く気候変動

ここ数年でcambio crimaticoという単語をどの農園主からも聞くようになった。
要するに気候変動のこと。
どんな感じで変わってきているかといえば、『雨季と乾季の境目があいまいになってきている』というのが最も多い。
コーヒーは、乾いた時期と雨が降る時期がはっきりしているほうが品質のよいものができる。
日本で品質が高いものが採れないのは、四季があり、一年中雨が降るからだ。
渇きに耐えて、雨季がやってきて、一気に開花し、同時に完熟へと向かう。乾季に収穫期が重なり、精製後の天日乾燥も雨が降らないからこそできることなのだ。
ところが今では、収穫期に突然雨が降ることが多くなってきた。完熟したチェリーに雨が降ると水を吸ってしまい、チェリーが膨らみすぎて割れてしまったり、落ちてしまったりする。
乾燥させているパティオに雨が降ればそれこそ大変だ。
今年は雨でチェリーが多く落ちてしまった。グアテマラでもコスタリカでもよく聞いた。
乾燥工程で雨が降ればパーチメントが濡れて乾燥時間が延び、それは次のロットを干す場所がなくなってしまうことを意味する。(もちろん品質にも影響が及ぶこともある)
そこで計画通り乾燥が進み、品質も保てるように乾燥機(グアルディオラ)を導入する農園主も増えている。
皆、気候変動対策を少しずつ進めているようだ。
そして気候変動によって病害虫も増えているという。その対策の為、H1、エチオサルなど病害虫に強いとされる品種を植える農園が非常に増えている。まだ日本で見かけることが少ない品種だが、これから先増えてくることは予想できる。
それでも低地で栽培されているコマーシャルグレードより高地のスペシャルティグレードのほうがまだ影響は少ないともいわれている。高地はもともと寒いので、少しあたたかくなってもまだ大丈夫ということでそのように言われるのかもしれない。
心配は尽きないが、スペシャルティコーヒーの生産者たちは皆品質のことを考えて対策をしながら栽培している。
今年も素晴らしいコーヒーにたくさん出会えているので、楽しみにしていてほしい。